前編では、プロとアマの中間領域で新しい市場が生まれる構造を整理して、20位〜11位まで発表しました。今回は10位から4位です。
正直に言うと、この帯がいちばん書いていて楽しかったです。理由は単純で、「才能はあるのに、選ばれる場所がない」人がいちばん多いゾーンだから。裾野は十分にある。足りないのは仕組みのほうです。

第10位 シニア×趣味競技(26点)
盆栽、社交ダンス、詩吟、囲碁。各協会の組織はだいたい硬直しています。そして裾野が拡大し続ける唯一の領域です。日本で人口が増えている層がここしかない以上、構造としてはかなり強い。
弱点は選出のエンタメ化です。競い合う文化があまり根づいていないジャンルが多く、「勝ち負けをつける」こと自体に抵抗が出やすい。ここを乗り越える見せ方を発明できたら、化けます。
第9位 朗読・音声ドラマ(26点)
声優業界のプロ側は硬く、配信で朗読をしている人は膨大にいます。この構図はきれいです。
そして何より、制作費が一桁安い。映像なしで成立するので、小さく試して構造の善し悪しを検証できます。総合点は9位ですが、「まず何かやってみるなら」という観点では最上位候補だと思っています。
第8位 イラスト・ライブドローイング(26点)
画壇やオークションの世界は極端に閉じていて、SNSの絵描き人口は数え切れません。目の前で描き上げる対決興行にすれば、そのまま原画を売れる。興行と物販が同じ場所で完結するのは、この領域だけの強みです。
第7位 ダンスバトル興行(26点)
D.LEAGUEというプロリーグがある一方で、ストリートやキッズダンスの裾野は学校の必修化以降ずっと伸びています。バトル形式は短尺と相性がよく、映像がそのまま拡散する。
すでにバトル文化が根づいているぶん、新規プレイヤーが入る余地をどう作るかが課題です。
ここから上は28点 中間領域の「壁」を越えた3つ
26点と28点のあいだには、はっきりした差があります。上の3つはいずれも選出をエンタメ化する仕組みが、すでに半分できているのです。
第6位 VTuber「中の人」発掘(28点)
大手事務所に対して、個人勢は万単位。オーディション過程を公開して興行にする、というやり方がそのまま当てはまります。
面白いのは、この領域が他の領域と母集団を共有できる点です。声の才能を探すという意味では声優と重なり、演じる才能という意味では俳優と重なる。ひとつのオーディションから複数の出口を作れる可能性があります。
第5位 声優・ナレーション(28点)
事務所制のプロ側と、音声投稿をしているアマ側。この距離がとにかく遠い。オーディションを番組化して、勝った人がその場でショートアニメに出演する——という導線が素直に描けます。
声の仕事は顔出しが要らないぶん参加のハードルが低く、母集団が集まりやすいのも効いています。
第4位 麻雀・ポーカー(28点)
Mリーグという狭き門に対して、雀荘やアプリの人口は数百万人規模。1半荘がそのまま短尺興行になるという、興行設計上の圧倒的な利点があります。
さらに運の要素があるので、格上に格下が勝つ番狂わせを設計できる。これはBreakingDownが持っていた性質とほぼ同じです。惜しいのは、賭博との線引きに気をつかう必要があること。ここさえ整理できれば、もっと上でもおかしくありません。
この帯を見て思ったこと
| 順位 | 領域 | 点数 | 強み | 引っかかり |
|---|---|---|---|---|
| 10 | シニア×趣味競技 | 26 | 裾野が増え続ける | 競技化への抵抗 |
| 9 | 朗読・音声ドラマ | 26 | 制作費が安い | 市場の天井が低め |
| 8 | イラスト・ライブドローイング | 26 | 物販に直結 | 興行としての尺 |
| 7 | ダンスバトル興行 | 26 | 短尺と相性がいい | 既存勢が強い |
| 6 | VTuber「中の人」発掘 | 28 | 母集団を共有できる | 権利関係が複雑 |
| 5 | 声優・ナレーション | 28 | 参加ハードルが低い | プロ側の反発 |
| 4 | 麻雀・ポーカー | 28 | 1半荘=1興行 | 賭博との線引き |
並べてみると、上位ほど「1回の興行が短い」という共通点が見えてきます。短ければ回数を増やせて、回数が増えれば物語が溜まる。これは前編で挙げた4条件のうち、③サイクルと④選出が効いている証拠だと思います。
よくある質問
26点と28点の差は、そんなに大きいんですか
点数としては2点ですが、中身が違います。28点の3つは、選ぶ過程をコンテンツにする道筋がすでに見えている。26点のほうは「裾野はあるが、選び方が未発明」という段階です。この差は、始めるときの難易度に直結します。
朗読・音声ドラマが9位なのに推されているのはなぜですか
総合点と、始めやすさは別物だからです。音声は映像より一桁安く作れるので、構造が正しいかどうかを低リスクで確かめられます。順位は9位でも、最初の一歩としては最有力だと考えています。
VTuberと声優は同じ領域では
近いですが、出口が違います。声優は既存の作品に出演する道、VTuberは自分がキャラクターになる道。ただ母集団はかなり重なるので、同じオーディションから両方へ送り出す設計はあり得ます。
シニア領域は本当に伸びますか
人口動態を見るかぎり、裾野が縮まない唯一の領域です。総務省統計局の人口統計を見ても、この層だけは増え続けています。ただし競技化への心理的な抵抗が大きく、見せ方の発明が要ります。
次はいよいよトップ3ですか
はい。後編で1位から3位を発表します。1位は7軸中5軸が満点でした。すでに海外で実証されている構造です。
次回予告
後編はトップ3です。29点が2つ、そして32点が1つ。1位だけ、点数が明らかに抜けています。
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※本記事は公開情報をもとにしたNONOの思考実験であり、特定の事業計画を示すものではありません。