用語が、増えすぎました
AI検索まわりの記事を読んでいると、こんな単語が次から次に出てきます。
SEO、AIO、GEO、LLMO、AI SEO、AEO、AI Overview対策——。
しかも、書いている媒体によって定義が微妙に違う。「この用語はGEOとほぼ同じ意味で使われることもある」みたいな注釈が入っていて、読んでいるほうは余計に混乱します。
正直に言ってしまうと、これらの用語の多くは、まだ定義が固まっていません。新しい領域なので、それぞれの会社が自分の言葉で名付けた結果、似たような概念に複数の名前がついている状態です。海外発の呼び方と国内で広まった呼び方が混在しているのも、ややこしさに拍車をかけています。
なので、この記事のゴールは「正しい定義を暗記すること」ではありません。実務で意思決定するために必要な区別だけを押さえることです。結論から言うと、覚えるべき区別は2つだけです。
まず、4つを並べてみる
一般的にどう使われているかを整理すると、こうなります。
| 用語 | 正式名称 | ざっくり言うと | 主な対象 |
|---|---|---|---|
| SEO | Search Engine Optimization | 検索結果で上位に出るための施策 | Google・Yahoo!などの検索結果 |
| AIO | AI Optimization / AI Overview対策 | AIが生成する回答枠に取り上げられるための施策 | Google AI Overviewなど |
| GEO | Generative Engine Optimization | 生成AIの回答に引用・言及されるための施策 | ChatGPT、Perplexityなど |
| LLMO | Large Language Model Optimization | 大規模言語モデルに正しく認識・推薦されるための施策 | 各種LLM全般 |
見てのとおり、この3つは、指しているものがかなり重なっています。文脈によって呼び分けられているだけで、やることは大部分が共通です。国内ではこの呼び方、海外ではGEOという言い方が優勢、くらいの理解で困りません。
一方で、SEOだけは明確に別物です。ここが1つ目の区別になります。
区別その1:「クリックしてもらう」のか「答えに使われる」のか
SEOとそれ以外を分けているのは、ゴールの置き方です。
SEOのゴールは、クリックしてもらうこと。
検索結果に自社ページを表示させ、そこから訪問してもらう。順位が上がれば流入が増える、という直線的な関係があります。
AI検索側のゴールは、答えの材料に使われること。
AIが回答を組み立てるときに、自社の情報が参照され、社名が挙がる。ここで重要なのは、ユーザーがサイトに来ないケースが普通にあることです。AIが答えを要約してくれるので、ユーザーはそれで満足してしまう。
この違いは、効果測定の考え方を根本から変えます。SEOなら「セッション数が増えたか」で判断できましたが、AI検索対策では「サイトに来ていないけれど、AIの回答の中で自社が言及されている」状態を評価しなければなりません。従来のアクセス解析だけを見ていると、成果が出ていても見えない、ということが起こります。

区別その2:「順位」なのか「言及」なのか
もうひとつが、評価される単位の違いです。
SEOでは、評価されるのはページでした。このキーワードで、このページが何位。だから施策も、ページ単位のタイトル、見出し、内部リンクといった話が中心になります。
LLMOで評価されるのは、企業やブランドそのものです。AIは「この会社は、この領域で、こういう特徴を持つ存在」として認識します。その認識は、自社サイトの1ページだけで作られるわけではありません。第三者の記事、比較サイト、SNS、採用情報、プレスリリース——Web上に散らばった情報の総和として形づくられます。
だから、AI検索対策で「どのページを直せばいいですか」という問いは、あまり筋が良くありません。「自社について、Web全体でどんな情報が流通しているか」を問う必要があります。
この違いは、施策の実行範囲にも影響します。SEOは自社サイトの中で完結する部分が大きかった。AI検索対策は、自社サイトの外に出ていく施策——広報、PR、採用広報、パートナーとの取り組み——の比重がぐっと上がります。マーケティング部門だけで閉じにくい、というのが実務上のいちばんの違いかもしれません。
重なる部分と、重ならない部分
とはいえ、SEOとAI検索対策は対立するものではありません。むしろ土台の部分はかなり共通しています。
共通する土台
- 情報が正確で、最新であること
- ページが技術的に読み取れる状態にあること(クロール可否、表示速度、構造化データ)
- 見出しや文章の構造が整理されていること
- 実績や専門性が根拠とともに示されていること
SEO寄りの施策
- キーワード単位の設計、検索順位のモニタリング、内部リンク構造の最適化
AI検索寄りの施策
- 第三者メディアでの言及の獲得、比較・レビュー系サイトへの掲載
- 一次情報(調査データ、事例、技術解説)の発信
- Q&A形式など、AIが引用しやすい形での情報提供
- 各AIでの自社の紹介のされ方のモニタリング
つまり、SEOをちゃんとやってきた企業は、AI検索対策のスタート地点がすでに高い。ゼロからやり直す話ではありません。
優先順位:まずやるべき3つ
用語を整理したところで、では何から手をつけるか。
1. 現在地を知る
これを飛ばして施策から入る企業が本当に多いのですが、順番が逆です。AIが自社をどう説明しているか、指名せずに聞いたときに名前が挙がるか。まずここを確認する。誤情報が流通していた場合は、他の何よりも優先されます。
2. 基本情報を、AIが読める形に整える
事業内容、所在地、設立年、料金、実績。画像やPDFの中ではなく、テキストとして書く。構造化データを入れる。地味ですが、効果が出るまでの時間が短く、コストも低い。
3. 一次情報を出す
ここが本丸で、いちばん時間がかかります。自社にしかないデータや知見を、参照できる形で公開する。年に数本のペースでも、積み上がれば効いてきます。
効果が出るまでの時間差に注意
最後にひとつ、実務上の注意点を。
SEOの効果が出るまでには数か月かかる、というのはよく言われる話です。AI検索対策はさらに読みにくい。理由は、AIによって情報の取り込み方が違うからです。
Google自身も、AI Overviewを含むAI機能におけるサイトの扱いを検索セントラルの公式ドキュメントで説明しています。基本の考え方は従来のSEOと地続きです。また、生成AIの利用がどこまで広がっているかは、総務省の情報通信白書に統計がまとまっています。
Web検索を都度実行して回答するタイプのAI(Perplexityや、検索連携時のChatGPTなど)は、比較的早く新しい情報を反映します。一方、モデルの学習データに含まれる知識として企業を認識している部分は、モデルの更新タイミングに依存します。ここは数か月〜年単位の話になります。
つまり、「サイトを直したのに、まだChatGPTが古い情報のままだ」ということは普通に起こります。 焦って施策をやめてしまうのがいちばんもったいないので、時間軸の違いは最初に社内で握っておくことをおすすめします。
よくある誤解5つ
「AI対策専用のページを作ればいい」
→ 特定のページで解決する話ではありません。企業についてWeb全体に流通する情報が評価対象です。
「SEOをやめてAI対策に切り替えるべき」
→ 検索からの流入はまだ大きく、土台も共通しています。切り替えではなく上乗せです。
「AIに自社の情報を直接登録できる」
→ 一部のサービスで運営者向けの申請窓口はありますが、「登録すれば紹介される」という仕組みは基本的にありません。
「自社名で聞いて良い答えが返ってきたから大丈夫」
→ 指名して聞けば、AIはたいてい肯定的に答えます。本番は指名せずに聞いたときです。
「1つのAIで確認すれば十分」
→ AIごとに参照する情報源も回答も違います。複数で確認しないと実態を読み違えます。
よくある質問
LLMOとGEOは、どちらの呼び方を使えばいいですか
社内で通じるほうで構いません。国内の記事では前者、海外の資料では後者が使われる傾向がありますが、指している内容はほぼ同じです。呼び方を揃えることより、何をやるかを揃えるほうが大事です。
SEOをやめてこちらに切り替えるべきですか
切り替える必要はありません。検索からの流入は依然として大きく、情報の正確さやページの読み取りやすさといった土台は共通しています。上乗せと考えてください。
対策の効果はどう測ればいいですか
従来のアクセス解析だけでは捉えられません。クリックされないまま社名だけが伝わるケースがあるためです。指名せずに質問したときに名前が挙がる回数を記録し、推移で見るのが現実的です。
専用のページを作れば解決しますか
しません。評価の対象は特定のページではなく、その企業についてWeb全体に流通している情報の総和です。自社サイトの整備と、外部からの言及を増やす作業の両方が必要です。
何か月で効果が出ますか
Web検索を都度実行するAIには数週間で反映されることがありますが、学習データ由来の知識はモデル更新のタイミングに依存し、数か月から年単位になります。この時間軸の違いは、最初に社内で握っておいてください。
まとめ
- 3つの用語は、ほぼ同じことを指している。呼び方の違いに悩む必要はない
- SEOとの違いは2つ。「クリックさせる」か「答えに使われる」か。「ページ」の評価か「企業」の評価か
- 土台は共通。SEOの積み重ねは無駄にならない
- 順番は、現在地の把握 → 基本情報の整備 → 一次情報の発信
まずは現在地から、という話をしました。AI BANKでは、企業のAIスコアを無料で確認できるAI診断を提供しています。さらに詳しく、ChatGPT・Gemini・Claude・Perplexity・Google AI Overviewでの実際の紹介のされ方や、競合3社との比較、改善施策の優先順位までを知りたい場合は、「AI検索最適化診断レポート」(10万円・税抜/納期1〜2週間)をご検討ください。
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