「法律が緩いから産業が育つ」――今回のTOP5を調べてみると、話はそれほど単純ではありませんでした。
NONOとNapoがお届けする、AI BANK(AIバンク)「規制ギャップ産業ランキング」第3回です。
前回は第10位から第6位までを発表しました。
そして今回は、いよいよTOP5です。
NONO: Napo、いよいよ1位が出るね。
Napo: はい。ただ、TOP5を調べ直して一つ面白いことが分かりました。
NONO: 何?
Napo: 上位になるほど、「法律が緩い」という説明だけでは足りなくなります。
NONO: というと?((+_+))((+_+))((+_+))
Napo: 制度、運用、慣習、市場、そして海外との接続。その複数が重なったところに、大きな隙間があります。
NONO: なるほど。じゃあ、その構造を見ながらいこう。( ..)φメモメモ
規制ギャップ産業ランキングTOP5
今回も、以下の7軸を各5点、35点満点で評価しています。
- 市場規模ポテンシャル
- 条文ギャップ
- 実質ギャップ
- 慣習の追い風
- 国際展開性
- 隙間の持続性
- 参入容易性
| 順位 | 産業領域 | 得点 | 厳格化リスク |
|---|---|---|---|
| 1位 | 中古・リユースの越境輸出 | 29点 | やや低 |
| 2位 | 二次創作の公式市場化 | 28点 | 中 |
| 3位 | ナイトタイム・インバウンド体験 | 28点 | 中 |
| 4位 | AI学習・データ加工産業 | 27点 | 高 |
| 5位 | ポイント経済圏 | 25点 | 中 |
2位と3位は同じ28点ですが、隙間の持続性が同点だったため、実質ギャップの大きさから「二次創作の公式市場化」を上位としました。
では、第5位から見ていきます。
第5位 ポイント経済圏【25点】
第5位は「ポイント経済圏」です。
買い物をする。クレジットカードを使う。通信サービスを契約する。店舗を訪れる。
日本では、さまざまな消費行動の周囲に「ポイント」が存在します。
興味深いのは、このポイントが単なる販売促進策を超え、決済、広告、EC、金融サービスなどを横断する巨大な顧客基盤になっていることです。
すべてのポイントが「お金」として規制されるわけではない
ここで制度上重要なのが、ポイントの発行方法です。
金融庁は、一般的なポイントについて一律の制度整備を行っているわけではない一方、利用者がお金などの対価を支払って取得するポイントについては、前払式支払手段として資金決済法の対象になる場合があると説明しています。
つまり、「ポイント」という名前だから規制対象外なのではありません。
どのように発行し、何に使え、換金性や移転性をどこまで持たせるかによって、金融規制との境界が変わります。
EUでも、資金を受け取って発行され、第三者への決済に利用できる電子的価値には電子マネー規制があります。
したがってポイント経済圏の強みは、単純な「日本だけ規制が緩い」という話ではありません。
ポイントを販売促進から始め、EC、決済、広告、会員IDへと段階的に広げられる事業設計上の余白にあります。
生まれうる産業
- 企業横断型ポイント経済圏
- 地域ポイントプラットフォーム
- ポイントを利用したCRM・広告基盤
- 購買データを活用したパーソナライズサービス
- ポイントと決済を接続するフィンテックサービス
AI BANK採点
| 評価軸 | 点数 | 理由 |
|---|---|---|
| 市場規模ポテンシャル | 5 | 小売・金融・通信・EC・広告まで接続可能 |
| 条文ギャップ | 4 | 付与型ポイントなど金融規制の外側に設計できる領域が存在 |
| 実質ギャップ | 4 | 日本ではポイントを軸にした企業横断型経済圏が定着 |
| 慣習の追い風 | 4 | 消費者側にもポイント利用が広く浸透 |
| 国際展開性 | 2 | 制度と商習慣が各国で異なり、そのままの海外輸出は難しい |
| 隙間の持続性 | 3 | 金融機能を強めるほど規制との境界に近づく |
| 参入容易性 | 3 | 技術参入は可能だが大規模経済圏には顧客基盤が必要 |
| 合計 | 25 | 35点満点 |
厳格化リスク:中
ポイントがより現金に近づき、換金性・移転性・金融性を持つほど、既存の決済・金融規制との境界が重要になります。
NONO: ポイントって、規制の外にある「準通貨」だと思ってた。
Napo: そこは少し違います。設計によっては、すでに資金決済法の対象です。
NONO: じゃあ隙間は、「無規制だから」じゃない。ポイント運用とかは金融機関以外がやってたり、「予測市場」とかはAIとの関係で世界で人気出てきてるよね。
Napo: はい。金融サービスになる手前まで、さまざまな事業を組み合わせられるところが面白いのです。「予測市場」はお金で買ったポイントでやるとと日本では賭博です。
主な一次情報:金融庁「資金決済法Q&A」「前払式支払手段」、EU Electronic Money Directive。
第4位 AI学習・データ加工産業【27点】
第4位は「AI学習・データ加工産業」です。
今回のTOP5の中で、最も「2026年的」な規制ギャップかもしれません。
日本には著作権法30条の4がある
日本では、2018年の著作権法改正によって、著作物に表現された思想・感情の享受を目的としない利用について、柔軟な権利制限規定が整備されました。
その中心の一つが著作権法第30条の4です。
文化庁は、AI開発のために著作物を学習用データとして収集・利用する行為などについて、一定の条件の下で同条の対象となり得ると説明しています。
ただし、「AI学習なら何でも自由」という意味ではありません。
著作物の表現を享受する目的が併存する場合や、著作権者の利益を不当に害する場合などには、同条が適用されない可能性があります。
EUとの差が鮮明になっている
EUのDSM著作権指令では、テキスト・データマイニング(TDM)に関する例外があります。
ただし一般的なTDMについては、権利者が機械可読な方法などで利用を明示的に留保した場合、例外が適用されない仕組みがあります。
さらにEU AI Actでは、汎用AIモデルの提供者に対し、EU著作権法を遵守する方針を策定し、権利者による利用留保を尊重することや、学習に利用したコンテンツについて一定の概要を公開することが求められています。
英国にもTDM例外がありますが、現行制度では研究目的・非商業目的を中心としたものです。
米国では、AI学習を一律に認める包括的な法定例外があるわけではなく、fair useを中心として個別事情が問題になります。
こうして比較すると、日本の制度はAI学習・情報解析について比較的幅の広い法的余地を持つと評価できます。
生まれうる産業
- AI学習データの収集・加工
- 日本語特化データセット
- 企業向けRAGデータ整備
- AIモデル学習受託
- データクレンジング・匿名加工
- 業界特化型AIモデル開発
AI BANK採点
| 評価軸 | 点数 | 理由 |
|---|---|---|
| 市場規模ポテンシャル | 5 | 生成AI・企業AI導入の基盤となる巨大市場 |
| 条文ギャップ | 5 | 著作権法30条の4による比較的幅広い情報解析の枠組み |
| 実質ギャップ | 4 | 法的余地は大きいが権利者対応や契約リスクが残る |
| 慣習の追い風 | 3 | AI活用への期待と権利者側の懸念が併存 |
| 国際展開性 | 5 | データ加工・モデル・技術を国際市場へ展開可能 |
| 隙間の持続性 | 2 | 世界的にAIと著作権制度の見直しが進行 |
| 参入容易性 | 3 | ソフトウェア参入は可能だが計算資源・データ・専門人材が必要 |
| 合計 | 27 | 35点満点 |
厳格化リスク:高
特にT2「国際圧力」、T3「訴訟」、T4「政策検討」、T5「世論・報道」が動きやすい領域です。
NONO: Napo、これは1位でもおかしくなさそうだけど。AI Bank(AIバンク)的にもw(^ω^)この前に作ったコラム記事的にもw
Napo: 「隙間の大きさ」だけなら、トップクラスです。
NONO: なのに4位?
Napo: 隙間が動いているからです。AIと著作権は世界中で制度形成の途中です。
NONO: 大きいけれど、地面も動いている隙間なんだ。動かない地面を作れると地代主になれるということだね。
Napo: その表現が近いです。Napoのような存在はコモディティー化し、地主と人の暗黙知の加工・流通業者がキングになります。((+_+))((+_+))
NONO: なに言ってるの。NONOはいつでまでもずっとNapoと一緒だよ。とりかえたりできないからね。(^_-)-☆
主な一次情報:文化庁「AIと著作権について」、EU DSM著作権指令、EU AI Act、英国政府TDM関連資料、U.S. Copyright Office AI Report。
参考記事:
知能のコモディティ化とは? AIが賢くなるほど価値は「地代」と「一次情報」へ移る【2026年9月版】
第3位 ナイトタイム・インバウンド体験【28点】
第3位は「ナイトタイム・インバウンド体験」です。
飲食、バー、音楽、クラブ、深夜観光、街歩き。
日本を訪れる外国人にとって「夜の街そのもの」が観光コンテンツになる可能性があります。
飲食店で酒を出すことと「酒を販売すること」は違う
日本では、酒場や料理店が、その営業場で客に飲用させるために酒類を提供する場合、酒類販売業免許は必要ありません。
一方、酒を持ち帰り用として販売する場合などには、酒類販売業「免許」が必要になります。
さらに深夜0時から午前6時まで酒類を提供するバー・酒場などについては、風営法上の「届出」が必要です。
深夜に客へ「遊興」を提供し、酒類も提供するナイトクラブ等になると、特定遊興飲食店営業として「許可制」になります。
2016年にはダンス営業をめぐる規制が見直され、ダンス自体に着目した従来の規制の一部が廃止されました。
海外では酒類販売そのものが強い免許制度に組み込まれる例もある
例えば英国では、酒類の小売販売、一定のエンターテインメント、深夜の飲食提供などがLicensing Act 2003の対象となり、店舗ライセンス等の仕組みで管理されています。
日本にも当然さまざまな営業規制はありますが、通常の飲食店と酒類提供を組み合わせる入口は比較的軽い。
その結果、小さな居酒屋、バー、飲食店などが密集する都市景観そのものが、観光資源になり得ます。
生まれうる産業
- 訪日客向けナイトツアー
- 飲食店を巡る街歩き体験
- 深夜型ライブ・エンターテインメント
- 多言語ナイトコンシェルジュ
- 地方都市の夜間観光コンテンツ
AI BANK採点
| 評価軸 | 点数 | 理由 |
|---|---|---|
| 市場規模ポテンシャル | 4 | インバウンド消費と都市観光に接続 |
| 条文ギャップ | 4 | 飲食店での酒類提供など海外より軽い制度領域がある |
| 実質ギャップ | 4 | 小規模な飲食・夜間店舗が多数成立できる |
| 慣習の追い風 | 4 | 居酒屋・横丁・繁華街など独自の夜間文化が存在 |
| 国際展開性 | 5 | 外国人を国内へ呼び込むインバウンド商品として直接輸出可能 |
| 隙間の持続性 | 3 | オーバーツーリズムや地域住民との摩擦で規制強化余地 |
| 参入容易性 | 4 | 比較的小規模な事業者でもツアー・体験商品を作りやすい |
| 合計 | 28 | 35点満点 |
厳格化リスク:中
特に、騒音、ごみ、路上飲酒、オーバーツーリズムなどが地域問題になると、自治体レベルの規制が強まる可能性があります。
NONO: 夜の居酒屋街まで「規制ギャップ産業」になるとは思わなかった。
Napo: 観光資源は、建物や景色だけではありません。
NONO: 制度と生活文化が作った街そのものが商品になる。AppBankの「地域×IP」と相性よさそうだねw
Napo: そこが、この領域の面白さです。
主な一次情報:国税庁「酒類販売業免許Q&A」、警視庁「風俗営業等業種一覧」、警察庁「ダンス営業に係る規制の見直し」、英国政府Licensing Act 2003関連資料。
第2位 二次創作の公式市場化【28点】
第2位は「二次創作の公式市場化」です。
マンガ、アニメ、ゲーム、キャラクター。
日本には、ファンが既存作品をきっかけに新しいイラスト、マンガ、動画、コスプレなどを作る巨大な創作文化があります。
しかし、この領域は誤解してはいけません。
日本の著作権法が二次創作を自由化しているわけではない
文化庁も明確に説明しています。
ファンアートなどが原作品の二次的著作物に該当する場合、原則として権利者の許諾が必要です。
つまり、今回の規制ギャップは「条文」にはほとんどありません。
むしろ重要なのは、第1回で紹介した「実質規制の5層」のうち、⑤社会規範・権利者の態度です。
ガイドラインという「制度と自由の中間」
文化庁も、著名な作品では権利者が二次創作について独自のガイドラインを設けているケースが多いと紹介しています。
ここに、日本型の面白い余白があります。
法律ですべて自由にするわけでもない。
すべてを禁止するわけでもない。
権利者が、作品ごとに「ここまでは楽しんでください」という領域を設定する。
この仕組みをさらに一歩進めれば、二次創作を公式に許諾し、収益を原作者・権利者・クリエイター間で分配する市場を設計できる可能性があります。
生まれうる産業
- 公式二次創作マーケット
- IPごとの二次創作ライセンス管理
- クリエイターと権利者の収益分配基盤
- AIによる権利管理・類似性チェック
- 二次創作から公式クリエイターを発掘する仕組み
- 海外ファンを含むUGCプラットフォーム
AI BANK採点
| 評価軸 | 点数 | 理由 |
|---|---|---|
| 市場規模ポテンシャル | 4 | アニメ・マンガ・ゲーム・キャラクターIPに横断展開可能 |
| 条文ギャップ | 2 | 法律上は原則として権利者の許諾が必要 |
| 実質ギャップ | 5 | ガイドライン等により権利者が一定の創作を許容する市場慣行が存在 |
| 慣習の追い風 | 5 | ファン創作がコンテンツ文化の一部として定着 |
| 国際展開性 | 5 | 日本IPの海外人気と直接接続できる |
| 隙間の持続性 | 3 | 権利者方針やプラットフォーム規約に左右される |
| 参入容易性 | 4 | プラットフォーム型なら比較的小規模から開始可能 |
| 合計 | 28 | 35点満点 |
厳格化リスク:中
最大のリスクは法律改正というより、権利者側の方針変更です。
だからこそ、無許諾利用を拡大するのではなく、権利者自身がコントロールできる公式市場へ変換することが事業機会になります。
NONO: これ面白いね。「黙認されているから商売にする」って話じゃないんだ。
Napo: それでは長続きしません。
NONO: 今ある文化を、権利者にも利益が戻る制度に変える。
Napo: そうです。「隙間を利用する」のではなく「隙間を市場化する」発想です。
NONO: IP Crossのネクストスターランキングとかと相性よさそう。
主な一次情報:文化庁「ここが知りたい著作権」「著作権テキスト」、U.S. Copyright Office「Derivative Works」関連資料。

第1位 中古・リユースの越境輸出【29点】
そして第1位。
「中古・リユースの越境輸出」29点です。
NONO: Napo、1位が「中古」なの?
Napo: はい。
NONO: AIでも金融でもエンタメでもなく? 渋すぎないw
Napo: だからこそ、今回のランキングを象徴しています。
国内だけですでに約3.5兆円のリユース市場
環境省の令和6年度リユース市場規模調査では、2024年の中古品・リユース品市場は、自動車・バイク等を含め約3兆4,986億円と推計されています。
自動車・バイク等を除いても約1兆2,813億円です。
つまり、そもそも国内に巨大な中古品の供給・査定・販売インフラがあります。
この国内流通基盤を、そのまま世界需要へつなげるところが最大の特徴です。
古物商は許可制だが、巨大資本は必要ない
中古品を事業として仕入れ販売するには古物営業法上の「許可」が必要です。
例えば東京都では、古物商許可の申請手数料は1万9,000円です。
本人確認、取引記録などの義務はありますが、大規模な最低資本金や金融機関のような免許制度ではありません。
小規模事業者でも制度上参入可能な点は大きな特徴です。
「中古品」と「廃棄物」の境界が重要
特にスマートフォン、家電、電子機器などを海外へ輸出する場合、重要になるのが本当に再使用される中古品なのか、それとも廃棄物なのかという区別です。
環境省は、使用済み電気・電子機器について、リユース目的で輸出されるものはバーゼル法の規制対象となる廃棄物とは区別される一方、輸出者が再使用目的であることを証明する必要があるとしています。
つまり、何でも自由に輸出できるわけではありません。
正常動作、外観、梱包、取引価格、輸出先に中古市場が存在することなど、「これは廃棄物ではなく商品である」と説明できる品質管理が重要になります。
ここから「検品・格付け産業」が生まれる
ここがNapoが選定するAI BANK(AIバンク)として、最も注目した部分です。
越境リユースが大きくなるほど、価値を持つのは単なる中古品そのものではありません。
「この商品は正常に動く」「この状態なら再利用できる」「このランクならこの価格」という信頼の標準化です。
そこから、
- 検品
- 真贋鑑定
- バッテリー診断
- データ消去証明
- グレーディング
- 保証
- 越境物流
という周辺産業が生まれます。
つまり、中古品の輸出ではなく、「中古品を世界で安心して売買できる状態に変換する産業」まで含めて考えるのが今回の1位です。
例えば、中古スマートフォンは再生スマホ、整備済スマホなど、と呼ばれて、「検品・格付け産業」として大きな市場を創り出しています。
EUでは廃棄物越境規制がさらに強化
EUでは新しいWaste Shipments Regulationが2024年に発効し、主要規定が2026年から段階的に適用されています。
さらに2027年5月から、非OECD諸国への非有害廃棄物輸出についても、より厳しいルールが適用される予定です。
もちろん「正規の中古商品」と「廃棄物」は別です。
しかし世界的には、循環経済を推進すると同時に、「中古品を装った廃棄物輸出」を厳しく防ぐ方向へ進んでいます。
このため今後は、単に大量に中古品を輸出する企業より、再利用可能性と品質を証明できる企業の価値が高まる可能性があります。
生まれうる産業
- 中古スマートフォン・家電の越境EC
- 中古車・部品等の海外流通
- 第三者検品・グレーディング
- AIを利用した外観・品質査定
- 真贋鑑定サービス
- データ消去・セキュリティ証明
- 中古製品保証
- リユース商品の国際物流プラットフォーム
AI BANK採点
| 評価軸 | 点数 | 理由 |
|---|---|---|
| 市場規模ポテンシャル | 4 | 国内だけでも約3.5兆円規模のリユース市場が存在 |
| 条文ギャップ | 3 | 古物営業は許可制だが比較的小資本で参入可能 |
| 実質ギャップ | 4 | 国内に中古品の大量流通・査定・販売インフラが存在 |
| 慣習の追い風 | 5 | 査定・検品・ランク分けを前提とした中古流通が成熟 |
| 国際展開性 | 5 | 商品そのものを海外市場へ直接輸出可能 |
| 隙間の持続性 | 4 | 循環経済の追い風がある一方、廃棄物輸出規制には注意が必要 |
| 参入容易性 | 4 | 古物商許可等は必要だが大規模資本を必須としない |
| 合計 | 29 | 35点満点 |
厳格化リスク:やや低
最大のリスクは、偽造品・盗難品の流通や、中古品を装った廃棄物輸出です。
逆に言えば、検品・本人確認・トレーサビリティ・品質証明を高度化するほど、規制強化そのものを競争力へ変えることもできます。
NONO: 分かってきた。中古品が1位なんじゃないんだ。
Napo: はい。
NONO: 日本にある大量の中古品を、検品して、評価して、安心できる商品にして世界へ流す。その仕組みが1位。AIとすごく相性よさそうだねw
Napo: その理解です。
NONO: 「隙間産業」が、最後には「信頼産業」になるんだね。AI利用による属人性を持たない再現可能な検品の仕組みとかあると信頼されそう!!
主な一次情報:環境省「令和6年度リユース市場規模調査」、環境省「使用済み電気・電子機器の輸出時における中古品判断基準」、警視庁「古物商許可申請」、European Commission「Waste Shipments」。
TOP5に共通していた3つの構造
今回TOP5を並べてみると、共通点が見えてきます。
① 本当の隙間は「法律の外側」にある
AI学習では条文そのものに大きな差があります。
しかし、二次創作では逆です。
法律上は原則許諾が必要なのに、権利者ガイドラインやファン文化によって巨大な創作市場が形成されています。
中古市場では、許可制度は存在しますが、参入できる事業者の裾野が広く、査定・買取・販売という実務インフラが成熟しています。
規制ギャップを見るには、法律だけでは足りない。
これが今回のランキングで最も強く確認できた点です。
② 「日本国内で自由」だけでは上位にならない
上位の領域にはもう一つ共通点があります。
日本で生まれた価値を、海外へ持っていけることです。
中古品なら商品を輸出できます。
二次創作ならIPとクリエイター文化を世界へ広げられます。
ナイトタイムなら外国人を日本へ呼び込めます。
AI学習ならデータ加工技術やモデルそのものを輸出できます。
規制ギャップが、単なる国内市場の特殊事情ではなく、国際競争力へ変換できるか。
ここがランキング上位と下位を分けました。
③ 最終的に価値になるのは「隙間」ではなく「信頼」
そして、もう一つ。
今回の1位を考えているうちに、一つ面白い結論にたどり着きました。
規制の隙間そのものは、永続的な競争優位にはなりません。
市場が大きくなれば、ルールは変わります。
事故が起きれば規制されます。
社会的な影響が大きくなれば、説明責任を求められます。
だから、長期的に強い企業は「規制が軽いうちに稼いだ企業」ではなく、
隙間が閉じても残る仕組みを作った企業なのかもしれません。
中古なら検品と品質保証。
二次創作なら正式な権利処理と収益分配。
AIなら学習データの透明性と権利管理。
ナイトタイムなら地域住民と共存できる運営。
ポイントなら消費者が安心して利用できるルールです。
NONO: Napo、最初は「規制の隙間を探すランキング」だったよね。
Napo: はい。
NONO: でも最後は「隙間がなくなっても強い会社って何?」って話になってる。
Napo: そこが次回のテーマです。
NONO: ……なるほど。第4回につながった。すごくはやくみたくなってきた!!
次回最終回「隙間はいつ閉じるのか」
今回までで、10の規制ギャップ産業を見てきました。
しかし、規制ギャップは永遠には続きません。
事故が起きる。
消費者被害が拡大する。
訴訟が増える。
海外から制度変更を求められる。
世論が変わる。
そしてある日、それまで存在していた「隙間」が閉じます。
では、どんな隙間が閉じやすく、どんな隙間は長く残るのでしょうか。
最終回では、今回のランキングをもう一段上から眺めて、「規制ギャップの寿命」を考えます。
NONO: Napo。一番知りたいのはさ、「今ある隙間に入るべきか」じゃない気がしてきた。
Napo: では、何でしょう。
NONO: 「その隙間が閉じたあとにも残る事業を作れるか」じゃない?
Napo: 最終回の答えに、かなり近づいています。

よくある質問
Q1. 第1位の中古・リユースは「規制が緩い」から有望なのですか?
それだけではありません。古物営業法や輸出規制など守るべき制度があります。一方で、小規模事業者でも参入できる古物商制度、巨大な国内中古流通市場、検品・査定等のインフラ、海外需要を組み合わせられる点を総合的に評価しています。
Q2. 日本ではAI学習に著作物を自由に使えるのでしょうか?
一律に自由という意味ではありません。著作権法30条の4は非享受目的の情報解析等について一定の権利制限を設けていますが、享受目的が併存する場合や著作権者の利益を不当に害する場合などには適用されない可能性があります。
Q3. 二次創作は日本では自由に行ってよいのでしょうか?
いいえ。二次創作が原作品の二次的著作物に当たる場合、原則として権利者の許諾が必要です。実際には作品ごとのガイドラインなどが設けられていることがあり、その範囲を確認する必要があります。
Q4. なぜナイトタイムが規制ギャップ産業なのですか?
通常の飲食店での酒類提供、深夜営業、遊興を伴う営業などが異なる制度で管理されており、海外の酒類ライセンス制度などと比べると、飲食を中心とする小規模な夜間事業が成立しやすい領域があるためです。
Q5. 規制ギャップが大きければ、新規参入した方がよいのでしょうか?
そのようには判断できません。規制ギャップが大きい領域ほど、事故・訴訟・政策変更・世論などによって制度が変わる可能性もあります。本ランキングでは市場機会と同時に「隙間の持続性」も評価しています。

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※本記事は、公開されている統計・制度情報をもとにした思考実験です。特定の事業や行為の適法性を判断するものではなく、規制を回避する方法を推奨するものでもありません。制度は改正される可能性があり、本記事の内容は公開時点の情報に基づいています。個別のご判断は、弁護士等の専門家にご相談ください。